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宮本工藝 仏師 宮本 我休
修復を通じて、日本の伝統文化である技術を
後世につないでいきたい
野間大坊さんの毘沙門天像を見たとき、一瞬でその佇まいに心をつかまれました。美しい仏像には黄金比というものがありますが、それを踏襲した素晴らしい尊像。慶派を思わせるような、仏像づくりの正統を継いだ方の作だなと感じました。修復はつくられた方の作風を尊重し、じっくりと時間をかけて研究するところから始まります。その過程は、まさに作者と対話するような感覚になります。

長い歴史を経た仏像は、たくさんの職人の手が加わることで今も拝むことができます。だからこそ、仏師が技を継承していくことは、仏像を存続させていく上でとても大切です。僕自身、弟子時代は仏像の解体が最初の仕事でしたが、そこで仏像の構造を学んだり、彫られた方のノミ跡を見て技術を吸収してきました。修復に携わらせていただくことは、後継者を育てていく意味でも本当にありがたく貴重なことです。

野間大坊さんの毘沙門天像は室町時代のもので、今回は欠損箇所を補う部分修復ですが、いずれは完全修復をしていただきたいと思っています。そうすると漆を塗ったり、彩色をしたり、僕以外の職人さんの仕事が確保できます。修復を通じて、より広い範囲で日本の伝統文化である技術を後世につないでいきたいと願っています。

※慶派:平安時代末期から江戸時代の仏師の一派。運慶、快慶等がいる。

●インタビュー記事はこちら
GAKYU MIYAMOTO
野間大坊 毘沙門天像。 修復には1年以上を要するという 野間大坊 毘沙門天像。 修復には1年以上を要するという

野間大坊 毘沙門天像。
修復には1年以上を要するという 

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