落語というと、江戸時代に確立されたものがそのまま現在まで伝わっているイメージがあるかもしれません。いえいえ、とんでもない。50年前にできた噺もあれば、つい最近できた新作もあったりと、新旧の演目が混在しています。古典落語と呼ばれる江戸期から伝わるスタンダード作品も、時代を経るなかで、演じる噺家ごとにアレンジや工夫が加わっているんです。

「笑い」自体も変化していますね。例えば僕の場合、子どもの頃に親しんだドリフターズやひょうきん族の笑いが原点にあり、それらと落語のちゃんぽんで「柳家花緑の笑い」ができています。同様に若い世代の落語家たちも、各自が親しんできたお笑いや、最近ではTikTok文化などからも影響を受けているはずで、笑いのリズムや言葉のテンポは変わってきています。時代の空気を映しながら笑いはこれからも変化するでしょう。

それぞれの時代で新たな試みや工夫が加わってこそ、文化はより豊かに発展し、続いていくというのが僕の考えです。最新のデジタル技術も活用して伝統文化を次世代に伝えようという「HISTORY collabo ID」は、価値ある取り組みだと思います。 僕自身も落語の新たな可能性を探るチャレンジを続けながら、連綿と受け継がれる話芸を守り伝えていきたいと願っています。

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