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日本民藝館 常務理事
杉山 享司
「古きを守るも開発なり」。
歴史ある大切なものを意識して守っていく
思想家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)らが、民衆の暮らしの中から生まれた美の世界に着目し、「民藝」と名付けたのは今から100年前のことです。当時の日本は、急速に進む近代化と西洋化によって、社会や暮らしが大きく変化していた頃。「民藝」という新しい美の概念を広めようとした活動の根底には、日本の伝統的な文化が徐々に失われつつあった世の中への、「本当にそれでいいのか」という問いがありました。時代遅れだと切り捨てられるものの中に、私たちが失ってはならない大事なものがあるのではないか、と柳たちは考えたのです。

太古の昔から人間は、まわりの人やもの、自然との調和の中で生きてきました。それぞれの地域の風土や文化に根ざす民藝は、そうした人間本来の姿を思い起こさせてくれます。人間にとって本当に大事なものや、人知を超えた目には見えない大きな力について、民藝という言葉でともに考えていくことを柳は提唱したのだと思います。

人、もの、自然と調和する人間的な営みが希薄になっている現代だからこそ、振り切った針が元に戻るように、調和を求めて本能的に引き戻され、暮らしや生き方を見つめ直す人も増えているのではないでしょうか。民藝が改めて注目されている理由でもあると思います。「古きを守るも開発なり」という言葉を柳は残しています。変化の速度が格段に増している今、大事なものは何かを考え続け、それを意識して守っていくことがますます重要になっていると実感します。

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TAKASHI SUGIYAMA TAKASHI SUGIYAMA
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日本民藝館の内観(玄関):日本民藝館提供


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